第一に、ひとつの保育機関での継続的・長期的な行動観察をとおして、異文化を背景にもつ子どもや保護者と保育士との相互作用の過程を丁寧に描き出していく必要があると思われる。たとえば前述したA保育園であっても、何もかもすばらしいモデル保育機関ではないだろう。現在の状態をつくり上げるためにはさまざまな試行錯誤があったはずである。それらを微視的に長期問分析していくことによって、保育観の変化の要因や文化が乳幼児の発達に及ぼす影響についてもさらに検討していくことができるだろう。第二に、子どもの異文化間移動における発達や環境をも想定した保育カリキュラムをつくることである。そして、保育機関との継続的・長期的な関わりを続けながら、異文化間的視点を取り入れた保育カリキュラムの試作を繰り返し、精度の高いカリキュラムを保育士と研究者との協働作業によってつくり上げていくことである。このような作業を繰り返しながら、従来児童期以降に行われていた国際理解教育を幼児期から意識的体系的に実施し、さらに国家間の異文化理解のみならず、発達段階をも踏まえた異文化間教育へとつなげていくことが重要であると思われる。
[参考サイト]
保育士について
http://www.seitoku.jp/kttcsu/