ダイヤモンド街と呼ばれる四十七丁目のビルは最上階までダイヤモンドに関連するオフィスで埋めつくされています。いくつものフロアを借り切っている大手ディーラーもあれば、畳三畳ほどの仕切られたスペースを借りて、ファクスと携帯電話だけで商売をしている業者もいます。私の友人のディーラーに、コリアン系米国人のサニーという女性がいます。かつてはコロンビア・エメラルド専門だったのですが、いまではダイヤも扱っています。ニューヨークの五番街に面したビルの九階に彼女のオフィスはあります。昨年、十日間ほどニューヨークに滞在していたときに、私と取引したいということでオフィスを訪ねた際には、その厳重な警備体制にびっくりしたものです。まずビルの入り口では、空港で受けるようなボディチェックが行われ、荷物の検査と身分証明書の提示を求められます。その上で訪問先の相手に警備員が通していいか確認するまで待たされ、エレベーターに乗るまで監視される始末。やっと目的のフロアにたどり着いたかと思うと、ドアは電子ロックで、その先にもまたドア。二つのドアは後ろのドアが閉まらないと前のドアが開かない仕組みになっていました。ようやく最後のドアを開けてサニーに会うまで、何度チェックを受けたことか。こんな状況なので、ダイヤ専門のディーラーから日本人観光客が品物を買おうとしても、とても目的のオフィスまでたどり着けないでしょう。観光客は街のジュエリーストアかデパートで買うしかありません。そして、そこでは私の知る限り、値崩れが起きていることはありませんでしたし、今後も期待はできないということです。